犬のコマンドと聞くと、「訓練された犬に使うような英語で指示する言葉?難しそう・・」と思う方も少なくないのではないでしょうか?
犬に使うコマンドは英語に限らず、日本語などほかの言語もあります。でも、英語で「短い指示を出して愛犬がビシっと従ってくれたらかっこいい」ですよね。
ここではしつけにも使える犬のコマンドについてご説明していきます。
この記事でわかること
- 犬にコマンドを教えるメリット
- コマンドを教えるときのポイント
- しつけに欠かせないコマンド
- コマンドやしつけの習得がうまくいかないときの裏技
目次
犬にコマンドを教えるとしつけにも有効活用できる
犬のしつけに使う「コマンド」とは、飼い主さんが愛犬に対して出す指示や命令の言葉です。例えば日本語で「おすわり」「まて」「ふせ」英語で「ステイ」「カム」などがあります。
人間と共に暮らしていく上で、犬にはしつけをすることが飼い主さんのマナーですね。他の「人や犬に迷惑をかけないため」にも、「愛犬を危険から守るため」にも、最低限のしつけが必要です。
しつけをするには、まず飼い主さんと愛犬の関係をきちんとしておかなければいけません。犬はもともと群れで暮らしていた動物ですからリーダーに従うという本能があります。
愛犬に飼い主さんをリーダーとして認識してもらわないと、言うことを聞かずしつけができないばかりか、手のかかる迷惑な犬になってしまうこともあります。
「犬のリーダー=飼い主さん」という主従関係を築いて基本的なしつけをすると、愛犬との生活が何倍も楽しくなりますよ。
犬にコマンドを教えるメリット
犬のしつけをするときに必ずコマンドを使わなければならないということはありません。中にはアイコンタクトやハンドサインだけで従う犬もいますよね?
でも初めからコマンドを使わずにしつけをするのはかなり難易度が高いと言えるでしょう。まずは言葉によるコマンドを教えることで犬とのコミュニケーションを充実させると、しつけもしやすくなりますよ。
コマンドはいつから教える?
犬にコマンドを使ってしつけをするには子犬のうちから始めるとよいと言われています。これは「早い段階で飼い主さんをリーダーとして認識させ、しつけをしやすくするため」です。
犬を飼い始める場合は、家に迎えた日からトイレトレーニングを始めるとよいのですが、コマンドを使ったトレーニングなど他のしつけに関しては犬が新しい環境に慣れてきたころからでも大丈夫です。
とはいえ、「かわいいから」「まだ子犬だから」と放っておかずなるべく早めにコマンドを教えてしつけを始めていきましょう。
犬にコマンドを教えたいときのポイント
コマンドはしつけと同じで定着するまでには相応の時間が必要です。犬の知能はそれほど高くないので教える側に統一感がなければ混乱して指示がわからなくなってしまうこともあります。
犬のしつけは飼い主さん目線で行われることが多いですが、犬の学習能力や集中力を考えれば、おやつなどを使いながら短時間で犬にも嬉しいことがあるような訓練で継続していくことがおすすめです。
ここでは、犬にコマンドを教えるときに使えるポイントを紹介します。
コマンドに使う言葉を統一する
犬にコマンドを教える場合、コマンドはひとつの言葉に統一して、言い換えないようにします。
たとえば「まて」ですが、「まちなさい」「まってー」や、いきなり英語で「ステイ」などと違うコマンドで教えてしまうと、愛犬はどのコマンドに対応してよいか混乱してしまいます。
また飼い主さんだけでなく、家族などほかの人がコマンドを使ってもちゃんと従うように、コマンドはひとつに決めて変えないようにしましょう。
コマンドには短い言葉を使う
犬は人間の言葉を聞き取り、従うことができます。でも内容を完全に理解しているわけではないので、長い言葉で指示を出すのではなく、短い言葉でコマンドを決めてトレーニングするといいでしょう。
上手にできたら褒める
犬にコマンドを教えたとき、コマンド通りにできたときには思い切り褒めてあげます。ただし、褒めるタイミングが重要です。例えば「おすわり」では愛犬がちゃんとおしりを落として座れた瞬間に褒めます。
褒めるタイミングが早すぎたり遅すぎたりすると、コマンドに対する行動を間違えて覚えてしまうこともあるので注意してください。
ご褒美を使って教える
愛犬がコマンドを覚えるように、「ご褒美としておやつを使う教え方」もあります。食いしん坊な犬ほど早く覚えると言われますが、どんな犬でもやはり「好きな食べ物をごほうびに与える教え方は上達が早い」ようです。
ただし、与える食べ物はフード1粒にするなど少なめで、できるだけ低カロリーのものを選び、与えすぎないようにしましょう。(おすすめ→ご褒美にも使えるドッグフード)慣れてきたら褒めるだけの教え方でもちゃんと従うようになりますよ。
覚えなくても叱らない
なかなかコマンドを覚えない犬もいますが、それでも決して叱ったり叩いたりしないでください。
コマンドを覚えないだけでなく、飼い主さんやコマンドに対して恐怖心、嫌悪感を覚えてしまうこともあります。そうなると次にコマンドのトレーニングをするとき、愛犬が嫌がってしまうことになりかねません。(関連記事→犬は唸ることで伝えたい!噛まれる前に唸りを止める方法とは)
一番重要なのは、飼い主さんと愛犬が楽しくコマンドのトレーニングをすることですので、根気よく、繰り返し教えていきましょう。
一度に多くのコマンドを教えない
しつけに使うコマンドにはいくつも種類があります。一度に何種類ものコマンドを教え込もうとすると、愛犬は混乱して間違えて覚えてしまうこともあります。
ひとつのコマンドを覚えたら少し休憩して違うコマンドのトレーニングをする、もしくは次の日に違うコマンドを教えるなど、ひとつひとつ教えましょう。
長時間教え込まない
犬の集中できる時間は10分~15分が目安です。何時間も休憩なしで教えても、覚えないばかりかコマンドのトレーニングが嫌いになってしまうかもしれません。
1日のうちで「トレーニングをしたら休憩」というように、何回かにわけるといいですよ。
しつけに欠かせないコマンド
犬を飼いはじめて最初の頃に教えたいコマンドを紹介します。簡単なものですが日常の犬との暮らしにとても役立つものなのでマスターできるようにしたいですね。
「ステイ」や「ノー」は散歩中に危険な行動やトラブルを防ぐためにも大切なしつけの一つです。大型犬だけでなく、好奇心旺盛で活発な犬や少し気性が荒い犬にとってのしつけには欠かせないものではないでしょうか?
できれば子犬の頃からしっかりと教えることで楽しい犬ライフを過ごしたいですね。
まて・ステイ
犬がその場でじっと動かないで待っている状態です。
「まて」ができるようになると、散歩のときにほかの犬に向かって走り出そうとしたり、横断歩道に飛び出そうとするという行動を防ぐことができます。
おすわり・シット
犬がおしりを落として座っている状態です。
食事を与えるときなどによく使うコマンドですね。興奮状態を抑えることにもつながるので、「おすわり」と「まて」をセットで覚えさせるとさまざまな場面で役に立ちますよ。
ふせ・ダウン
犬がおなかを床(地面)につけてじっとしている状態です。
この姿勢で寝ていることもあるくらい、犬にとっては楽な姿勢のひとつですね。動物病院などでちょっと長めに待っていてほしい時など、このコマンドを覚えていると愛犬に負担をかけることがないのでおすすめです。
だめ・ノー
犬にしてほしくないことや危険なことなどを、すぐにやめさせるコマンドです。
とはいえ、「だめ」を教えるのはトレーニングではちょっと難しいですね。愛犬が「してはいけないこと」をしたら、その場ですぐ「だめ」と教えるようにします。
よし
このコマンドは「まて」や「おすわり」などの姿勢から、「もう動いてOK」というサインのときに使います。
「歩いていいよ」や「走っていいよ」のサインなら「ゴー」や「歩け」などを使うこともありますので、その状況に合わせるといいですね。
ドッグランで役立つコマンド
愛犬との生活に慣れてきたら教えていきたいコマンドです。
例えばドッグランや病院などに行くときの移動で車を使うことが多いのではないでしょうか?そんなときにこれらのコマンドを覚えていたら「連れて行くのに一苦労」といった悩みも解決できるようになります。
これらは犬が他のことに興味を示していたり、苦手なことでも飼い主が指示したコマンドを優先させて行動するものなので、犬との主従関係が養われてから行えばスムーズに行くでしょう。
「こい」や「カム」を自由に使いこなすことができれば動き回れる広い場所で犬と遊ぶ喜びも倍増するに違いありません。
こい・カム
離れたところにいる(待たせている)犬に、よそ見をせず飼い主さんのほうに来させるコマンドです。
どこで何をしていても飼い主さんのところに戻ってくるという服従心を養えます。ほかの犬のところなどに行かないようにさせることもできますね。
ハウス
ケージなどの愛犬専用のスペースに入ってもらうコマンドです。
愛犬に留守番させるときや、来客があったときなどに役に立ちますよ。
コマンドとサインを組みあわせる
コマンドと合わせてハンドサインを組み合わせて教えていくと、徐々にコマンドなしでも従うようになります。
しつけというより、「芸」を教える際に使われることが多いですね。これができると動物病院内や店内など大声を出したくない場面などで役立ちますよ。
実際にコマンドを教えるときの問題
コマンドの教え方は色々ありますが、決まりはありません。犬にも個性がありますし、育児と同じで「この方法でできないなら別の方法で」という柔軟性が大切ではないかと思います。
コマンドを使って犬にしつけをすることは、信頼関係を増して主従関係を強固にするためにも重要です。
だけど実際は、犬を飼う状況というのは多種多様で「成犬になった犬を飼うことになった」場合や、「家族がコマンドを教えたりしつけをしてもうまくいかない」ということもよくあります。
特に力が強い大型犬のしつけがうまくできない場合は散歩でのトラブルや室内での誤飲誤食、無駄吠えなど飼い主さんの手に負えなくなってしまいます。
実際、私が飼っている犬も最初は全くしつけが出来ず本当に困っていました。
しかし、ある先入観を捨ててしつけをしたらみるみるうちにたくさんの芸が出来るようになったのです。
そこで、私の家で行っている犬のしつけ方法についてお伝えしていきます。
おすわりの指示語は「おすわり」じゃなくていい
犬をしつける時に大事なのは、飼い主の言うことを聞くということだけでなく実際に犬がその行動をするかどうかです。
例えば、飼い主が「おすわり」と犬に指示をするごとに犬が「伏せ」をし続けた場合、それを失敗だと言えるのでしょうか?
結果的に、飼い主が言った「おすわり」で犬が「伏せ」したならば、それを伏せの指示語にしてしまっても何も問題ありません。
つまり、飼い主の指示語と同じ行動を犬がしなくても飼い主の言葉に反応して犬が特定の行動をすれば、それでしつけが出来ていると言っても良いのです。
実際に私の家では、私がどれだけ「おすわり」と言っても犬はおすわりをしてくれませんが、他の言葉に反応しておすわりをしてくれます。
また、いつの間にか犬に「お利口さんかな?」と言うだけで「ワン!」と吠えるようになりました。
飼い主の指示語と犬の行動は一致していなければならない、という飼い主側の先入観を捨てるとこのようにたくさんの芸が出来るようになります。
(しつけの記事一覧:犬のしつけの記事一覧)
コマンドの指示語と犬の行動
私の家では「おすわり」「ハウス」の指示語はそのままではありません。
具体的には次のようになっています。
犬の行動 | 本来の指示語 | 我が家の指示語 |
---|---|---|
座る | おすわり | どれほしいの? |
部屋に行く | ハウス | と言うことは? |
まず、「おすわり」の指示語は「どれほしいの?」です。
おすわりは飼ってすぐに覚えさせようとしたのですが、どうしてもできませんでした。
ある日、犬におやつをあげようと犬の目を見て「どれほしいのかな?」と言った途端、犬がおすわりをするようになったのです。
それから、私の家では「どれほしいの?」と言うと犬がおすわりするようになりました。
次に、「ハウス」の指示語は「と言うことは?」です。
ハウスは、出かける時や人間がご飯のとき、犬の糞食を防ぐときにも使えるしつけです。
実は、これも覚えさせようとして身についたものではありませんでした。
私の家では出かける前になったら「ということは?犬を中に入れなきゃ」といつも言っており、その後おやつで犬を寝床におびき寄せていたのです。
それを犬が「ということは?」の部分を覚え、ハウスをすればおやつがもらえると思い、動作をするようになりました。
他にも色々ありますが、その多くは覚えさせようとしたものではなく犬の反応を見ながらそれに言葉を合わせることで出来るようになったものばかりです。
犬と飼い主の関係は各家庭それぞれのように、犬に行動を指示するときの言葉も家庭によって違うことはおかしなことではありません。
しつけのコツはおやつの与え方
私の家では、おやつは必ずしつけが出来たあとにおやつの袋から取り出して与えています。
犬にとっての最大のご褒美はおやつをもらうことです。
どんなに眠くても、おやつを見せると飛び起きて向かってくることもあります。
もし、しつけをするときにおやつをちらつかせてしまうと犬はおやつしか見なくなるのです。
そうすると、例えばおすわりをさせる前におやつを見せてから指示を出しておすわりしたとしても、それは飼い主の言葉に反応したわけでなく、おやつ欲しさにとりあえず何かをしただけです。
それを繰り返してしまうと、おやつをあげないとおすわりしないようになってしまいます。
なので、まずはしつけの前におやつを見せず、それが出来てからおやつを取り出してあげるようにしましょう。
すると、犬はおやつをもらえる期待を持ちながら、しっかり飼い主の指示を聞いてくれるようになります。
ジェスチャーを加えて指示をわかりやすくする
犬のしつけは言葉だけでもいいのですが、飼い主の行動を付け加えるだけでとてもスムーズに覚えるようになります。
指示語に手振りを加えて、犬が何を言われているか耳と目でわかるようにすると、しつけがスムーズになります。
例えば、「おすわり」と言葉だけでいうのと、「おすわりと言いながら指で下を指す」のとでは犬の反応が変わるはずです。
また、「ハウス」と言う時にも犬の寝床の方を指さしながら行えば、覚えるスピードが格段にあがり、言葉だけでは反応しないけど、犬の寝床を指さすと自然とハウスしてくれるということも多くあります。
少し大げさに手振りをやると、犬の反応もそれに比例して大きくなりますので、それだけ犬にとって手振りがわかりやすいということなのです。
犬のコマンドを使ったしつけ方法のまとめ
今回は、犬をスムーズにしつける方法についてお伝えしました。色々な雑誌やネットを見てしまうと「おすわり」の指示語は「おすわり」でなければならないような気がしてしまいますが全くそんなことはありません。
そのような先入観を捨ててその時に発した言葉と犬の行動をマッチングさせることで、より自然にしつけを行うことが出来ます。
さらにスムーズにしつけを行いたい場合は、手振りを加えながら、犬が視覚的にも指示の内容がわかるようにしてあげましょう。
それでもうまくいかなかったり、短時間で教えたいときにみなさんがどうしているかと言うと、「しつけ教室」に通ったり「トレーナーに預ける」という方法です。
だけど、実際にはしつけ教室やトレーナーはどこにでもあるわけではないので困っている方もいるのではないでしょうか?
そんなときに役立つのが犬のしつけ教材です。この動画のようにコマンドを簡単に習得させることもできるようになります。
不思議なことに飼い主さんが正しいしつけの方法を習得していれば愛犬も喜んで覚えていくことができます。しつけやコマンドの習得に困っていることがあれば次のページに詳しい内容がありますのでいちど確認して下さい。
コマンドは愛犬との楽しい生活のための大切なものです。犬ライフを充実させるためにも愛犬と一緒に「楽しく」「根気よく」コマンドをマスターしていきましょう。