愛犬が何もないのに、突然唸り出して驚いたことはありませんか?
低いトーンでお腹から絞り出すような声で唸る様子を見たら怒っているように感じます。
ですが、犬は「唸る」ことで人と同じように喜怒哀楽の感情を私たちに伝えているのです。
目次
犬が唸る5つの理由と唸りを止める方法
犬と暮らしていると、配達業者などの訪問者や散歩中に出会った犬に対してしばしば唸り声をあげることがありますよね。
言葉を話すことのできない犬は「唸る」ことで自分の意思を相手に伝えようとしています。
犬が「唸ることで伝えたいこと」は主に次の3つです。
- 警戒していることを伝えたい
- 恐怖を感じていることを伝えたい
- 所有欲や縄張りを伝えたい
- 感情を伝えたい
- 体調が悪いことを伝えたい
犬が唸りだしたら、まずは「何か理由があるんだろう」と考えて問題を解決してあげれば唸りを止めることができます。
警戒していることを伝える唸り
犬が唸り始めたタイミングは、知らないニオイや音に遭遇したときではありませんか?
犬の視覚はあまりよくないといわれていますが、嗅覚や聴覚は人間よりもはるかに優れていて、知らないニオイや音に遭遇すると警戒を伝えるために唸ることがあります。
これは、目前の状況に対して警戒が必要というサインです。
怖いことを伝えたい唸り
雷や大型車両のエンジン音、緊急車両のサイレンなど大きな音がするときに唸っているなら単純にそれらの音を恐がっている可能性があります。
これは社会経験が不足している幼犬や、感覚の衰えた老犬などに多くみられます。
恐怖、警戒からくる威嚇行動としての「唸り」は比較的わかりやすいのではないでしょうか。
唸りの他にも、震えるなどの症状が現れることもあります。
所有欲や縄張りを伝える唸り
犬と遊んでいる時、くわえていたおもちゃとろうとすると「これは自分の物だ」という強い所有欲を表して唸られたことはありませんか?
犬は群れで生活するオオカミが起源ということもあり、自分と相手の序列を意識しています。
飼い主と過ごす日常の中でも序列や縄張りを相手に主張しているのです。
犬が唸って序列や縄張りを伝えているにも関わらず、無理に破ろうとすると飼い主であっても噛みつかれる可能性は高いので注意してください。
感情が高ぶって唸る
遊びが盛り上がったり、犬が大好きな人や物に接すると気持ちの高揚から唸ることがあります。
これは楽しいという気持ちの現れです。
このようなとき、犬の気持ちに共感してあげることができれば彼らの幸福感が増すのかもしれません。
唸りには病気が隠れている可能性がある
犬は体に不調を感じたときに唸ることでそれを伝えようとします。
どこか辛いところがあると感じられる様子を見せたときに、確認のために触ろうとすると酷く唸ることがあります。
「唸る」という症状以外に、「ずっと寝ている」「震える」「よろめく」「吐く」などの症状があれ怪我や病気の可能性もあるので、すぐに病院に連れていってください。
高齢犬になるとリスクの増える様々な病気のサインとしてとらえることで健康維持につながります。
老犬の場合、何もないときに唸ることが多くなってきたら認知症の可能性も考えられます。
(関連記事:犬が震えるのは嬉しいのサイン!ストレスや病気だけじゃない犬の本当の気持ち)
犬同士で唸るの犬の事情とは
人間に飼われている犬にはたくさんの犬種があり、それぞれ性格も特徴も大きく異なります。
複数の犬種を飼っている場合、犬にとっては自宅で外国人と暮らしているように感じているかもしれません。
同じところに全然違う種類の犬が過ごしていれば問題が起こりやすいということは想像できるはずです。
ここでは犬同士で唸るのはなぜか?ということを説明していきます。
犬同士で唸るのはこんなとき
犬社会にも色々な事情があるんだなと感じたことはありませんか?
人間と同じように犬同士でも好き嫌いがあるというのは飼い主から見ていてもわかりますよね。私たちがわからない飼い犬たちの社会で犬同士で唸るときには次のような事情があるようです。
散歩
愛犬とお散歩中にほかの犬と出会うこともありますよね。顔を近づける、お尻のにおいを嗅ぐなどは犬同士の挨拶ですが、このとき犬同士で唸るのは、相手に対して警戒したり、恐怖心を覚えたときがほとんどです。
どちらかが相手のにおいを嗅いでいるときに、嗅がれているほうが唸る場合は、「近寄るな!」「しつこい!」「長く嗅ぎすぎ!」などの意味があります。
多頭飼い
多頭飼いの場合、犬同士の相性が合わないと飼い主さんは非常に大変ですよね。一般に雄犬同士では縄張り争いや独占欲による喧嘩が多いです。
自分の縄張りとして意識しているスペースに他の犬が近寄るだけで唸ったり、お気に入りのおもちゃを取られそうになったときなどに犬同士で唸ることがあります。
また発情期の雌犬をめぐって犬同士が唸ることもありますし、ただ単に他の犬に近寄られるのが苦手な犬もいます。
犬同士で唸るときの対処法
子犬の頃から他の犬と触れ合わなかったり社交性がない犬の場合は、他の犬に対し恐怖を感じ、威嚇したりすることがあります。また中には気の強い性格の犬種や、怖いもの知らずで他の犬にどんどん向かっていくタイプの犬種もいますね。
いずれの場合も犬と飼い主さんとの主従関係がしっかり築けていれば、コマンドで犬を落ち着かせることができます。
犬同士で唸るようなことになっても喧嘩にならないように、普段から必要最低限のしつけをしておくことが大切です。もし散歩のときや自宅で飼い犬同士が唸るときは次の対処法を参考にしてくださいね。
散歩などでほかの犬に唸るとき
犬同士の挨拶は一見ほほえましいようにも見えますが、どちらかが唸りだしたときは喧嘩に発展することもあります。飼い主さん同士で会話を楽しむ前に、犬同士で喧嘩しないかちゃんと見ておくようにしたいですね。
初めて会って挨拶もなしに犬同士で唸るようなら「ほかのワンちゃんが苦手なので」などと断り、リードをしっかり持って距離を取るといいでしょう。
また初対面ではなく、何度も一緒に遊んだ犬同士でも唸ることもがります。そのときの犬の体調や気分によって、犬同士の挨拶すらしたくないこともありますので、飼い主さんは目を離さないようにしてください。
一緒に飼っている犬同士で唸るとき
2頭以上の犬を飼うときには、まず相性をチェックすることが重要ですが性別による相性もありますね。雄犬を去勢したら犬同士で唸ることがなくなったというケースもありますので、去勢・避妊についても検討するといいでしょう。
また体調や本来の性格上、他の犬に近寄られたくないために犬同士で唸ることもあります。いつもと違うなと思ったら、喧嘩に発展する前に距離をとらせることも大切です。
犬同士で唸る、喧嘩になる、を繰り返していると一緒に飼うことが困難になってしまうので、飼い主さんはよく犬たちの様子を見ておくといいでしょう。
犬が目を合わせると唸るのは相手に対する意思表示
目を見て挨拶など、人間にとって目を見る事はごく自然な事ですが犬にとっては大切な意味を持っています。犬は相手から敵意を感じた時には目を合わせて強く睨んだ視線を送ります。
喧嘩を売ったり買ったりの意味を持つ行為なので唸ったり歯をむき出しにしている状態なら危険な状態と考えることができます。
対応を間違えると噛みつく、飛びかかる原因になるので飼い主さんがしっかりと注意しましょう。しかし、敵意ばかりではありませんので犬から向けられる目線に合わせて対応をマスターしていきましょう。
来客や緊張と敵意から目を合わせると唸る
来客や、チャイム、他の犬の目を見たときに唸る犬は少なくないですよね。
来客者に対して唸ることはよくありますが飼い主さんに対して同じようなことがあれば、犬自身が怒りの気持ちをうまくコントロールできていない可能性があります。
目を合わせると叱られると勘違い?
犬は警戒しているサインとしても目を合わせると唸ることがあります。
犬は見つめられると怯えるという習性があるので、じっと見つめるのは避けたほうがよいでしょう。
恐怖を感じると怯えて唸るということもあります。叱る時は目を合わせて強い視線を送る、名前を呼ぶ時は、ご褒美をあげるときや褒める時にするなど工夫が必要です。
愛情と信頼の証拠!大好きなひとへの視線
飼い主さんへキュルキュルした目で視線を送っているときがあります。穏やかな柔らかい表情をしているときは、「大好き!」と伝えています。飼い主さんと愛犬の信頼関係はバッチリです!(→おやつにも使えるドッグフードを見る)
犬が目を合わせようとしない理由
アイコンタクトに良い経験がなければ犬は目を合わすことを恐れるようになります。
だからこそ犬を叱る時には言葉で話すよりも犬と目線を合わせて強く訴えることが有効です。
犬を怒るとき「〇〇ちゃん!だめでしょ!」となど言っていませんか?
名前を呼ばれると「嬉しいことがある」と思っていたのに怒られたという経験が繰り返されると呼ばれることに対して警戒するようになることがあります。
逆に、いたずらをして叱られるのがわかっているときは敢えて目を合わせないように逃げたいといわんばかりの姿など可愛い行動を見ることができます。
犬を抱っこしたら唸るのは抱っこの方法が悪いからかも
街中や公園を歩いていると、飼い主さんに抱っこをされてうれしそうにしている犬をよく見かけます。飼い主さんにとっても犬にとってもスキンシップが増えて幸せな時間ですよね。
けれど、中には抱っこをされると唸る犬がいるのも事実です。なぜ抱っこをすると唸るのでしょうか?
それは、犬が抱っこをされるのが嫌だから。嫌がる原因について詳しく解説していきたいと思います。
抱っこに対する嫌な経験がある
小さい頃から飼っている犬である場合は、昔から抱っこをすると唸っていたのか、それとも途中から唸るようになったのかを思い出してみましょう。
最初は抱っこをしても何ともなかったのに途中から唸るようになった場合は、抱っこをされたことにより何か嫌な思いをしたことがあるのかもしれません。
例えば、抱っこをしたあとは動物病院に連れて行かれることが多いとか、嫌いなシャンプーをされることが多いとか。抱っこをしたあとに犬にとって嫌な出来事が待ち構えていることが多い場合、犬にとっては「抱っこ=嫌なことが起きる前」とトラウマのように捉えられてしまっている場合が多いです。
上記のケースのような場合は、まず犬にとって「抱っこをされても悪いことは起きない」と言うように良いイメージを与えられるようにしないといけません。
「抱っこをしたあとはお散歩に連れて行く」や「抱っこをしたあとは犬の大好物をあげる」など、犬にとってうれしいことをしてあげると良いですね。
病気やケガの痛みが唸る原因になる
病気やケガによる痛みから、抱っこをしたときに犬が唸ることもあります。
犬が唸りながら苦しそうにしていたら、抱っこをしたときに触れている部分を中心に犬の体に傷がないか注意深く観察してください。
目に見えるケガがなくても、同じ場所に触れると痛がり唸るときは動物病院に行って相談してみましょう。もしかしたら目では確認できない病気にかかっている可能性もあります。
正しい抱っこの仕方ではない
本当は抱っこをされるのが好きな犬でも正しい格好で抱っこをしないと犬にとっては苦しくストレスになってしまいます。1度や2度なら我慢できても、度重なってくるとストレスとなり抱っこされるのが嫌で唸るようになっているのかも。
あなたは愛犬に対して正しい抱っこの仕方が出来ていますか?
抱っこをしたときに首元を覆っていないか、お腹のあたりを圧迫していないかなど犬が苦しい姿勢になっていないかきちんと確認をしましょう。
また、犬の大きさによっても抱っこの仕方が異なります。間違えた抱っこの仕方をしていると、それが原因で犬の関節や体を傷めてしまう原因にも。
正しい抱っこの仕方をきちんと理解し、抱っこをされることはうれしいことだと認識してもらえるようにしましょう。
唸る犬に噛まれるときは原因を探してあげよう
「大切なものを取られたくない」「触られるのがいやだ」「警戒している」などという理由で唸るという威嚇をします。
なんの理由もなく噛むことはありません。
もし強く噛まれそうになった場合は、防衛的な行動の裏に何か原因が隠れているはずです。まずは落ち着くまでその場を離れて様子を観察してください。
もし何気なく犬に接していたところを急に噛まれると「いきなり噛まれた」と思いがちですよね。でもそれは犬の意思表示なんです。
犬は嫌な思いをしているとき、やめてほしい時は、顔をそらし体を硬直させます。絶対に「嫌だ」と伝えるためのボディーランゲージをしているはずです。
それに気づかずに続けていると犬はストレスから威嚇として唸ったり噛みついてしまったりします。
日々の生活の中で犬の嫌がることは極力避け、苦手な事はゆっくり時間をかけて克服させるように心がけましょう。(関連記事→犬にコマンドを教えたい!しつけに困ったときの裏技とコマンド習得のメリット)そして犬のボディーランゲージに気づけるようになればもっと犬と楽しい時間を過ごすことができますよ。
犬の唸りを止めるしつけをしよう
犬は警戒心や恐怖、不快な気持ちを感じたときに唸ります。本能的な防護行為ですが、興奮しているので手を出すと噛まれることもあり、そのままにしておくのは危険です。
人と快適に共存するためにも、唸る癖はしつけをして止めましょう。
そのために、ケースごとに唸るのを止める方法を紹介します。
知らない人が来ると唸るときのしつけ
知らない人が来ると、犬は自分の縄張りを守ろうとして唸ることがあります。相手の方が不快な思いをするのですぐ治しましょう。
来客を見て唸ったら、おやつを与えて気持ちを紛らわせます。怒ったりなだめたりすると、ほめられたと勘違いするので逆効果です。そして、来客と親しくしている様子を犬に見せましょう。
安全な人物とわかれば唸るのをやめます。もし唸らずにお利口にしていたらおやつをあげて褒めましょう。この経験の繰り返しで学習し、唸らなくなります。
物を取られたくなくて唸るときのしつけ
犬は所有欲が強く、おもちゃなどを取ろうとすると唸ることがあります。
犬が物をくわえて離さず唸るときはおやつを見せ「ちょうだい」と声を掛け、物を離したらおやつを与えます。
おやつで釣っておもちゃを離してもらう作戦です。おもちゃを離したらしっかり褒めてやります。その繰り返しで唸ることもなくなります。
食事中に唸るときのしつけ
食事中に人が近づくと自分のえさを取られると思って唸る犬がいます。
人は食べ物を奪わない存在ということを教えて安心させましょう。
まず、食事中にお皿を触られることに慣らします。えさを小分けして途中でおかわりをお皿に入れたり、犬の好物をお皿に追加したりと、犬の警戒心を解く餌の与え方を毎回繰り返します。
唸っていないときは、すぐ褒めましょう。慣れてきたら食事中に声をかけながら体を撫で安心させてやります。
人を威嚇して唸るときのしつけ
特定の人が近づいたときに唸るのは、その人より自分のほうが上だと思って威嚇している可能性も。攻撃行動に出るおそれがあるので、すぐ矯正しましょう。
犬が唸っても背中を向けるなどして無視し平然とした態度をとります。
怒る、怖がる、なだめるのはNGです。
できれば、機嫌の良いときを見計らって遊んであげましょう。何か命令をして言うことを聞いたときには思い切り褒めます。信頼関係を築けば犬はその人を見下さなくなるでしょう。
触られると唸るときのしつけ
触られたときに唸るのは、過去の経験から人に恐怖心を持っている、人に触られた時に不快な思いをして嫌がっている可能性も。
「人に触られるのは嫌なことではないんだよ。」と気付かせてあげましょう。
初めは犬の目線より下から手を差し出しておやつを与え、少しずつ体を撫でてやります。怖がるようなら無理をせず、安心していることを確認しながら、徐々に人の手に慣らしていくと唸ることもなくなるでしょう。
犬の唸りにも向き合いたい
古くは縄文時代から人間と共生してきた犬。生活環境の変化に対応しながら私たちのそばで仕事や生活の助けとして、癒しの存在として今も私たち人間のそばにいてくれます。
「唸る」ことはその心の内を私たちに伝えている行為なので、より良いパートナーシップを築いていくにはこうした犬たちが感じる恐怖や不安、そして楽しいといった気持ちに寄り添い、彼らのもつ習性を理解していくことが大切だといえるでしょう。
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